あれこれ

日米のマスコミに騙されるな

日刊SPA!より

トランプ大統領の真意は移民排斥ではない。日米のマスコミに騙されるな【評論家・江崎道朗】

イスラム圏7か国からの入国制限の根拠はオバマ政権が定めた

1月27日、アメリカのトランプ大統領が出した「外国のテロリストの入国を制限し、アメリカを守るための大統領令」(Protecting the Nation from Foreign Terrorist Entry into the United States)に反発して全米で抗議デモが起こっている。

トランプ大統領は移民の国アメリカの理想を裏切りイスラム教徒を敵視している、というのだ。

民主党のナンシー・ペロシ議員らは「自由の女神が泣いている」と非難し、大手テレビ局のCNNは「トランプが1億3400万人をアメリカから締め出す」との見出しを掲げた。

では、トランプ大統領は何をしたのか。イスラム教徒を差別したのか。そうではない。イラク、シリア、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンからのアメリカ入国を、90日間停止したにすぎない。これらの国々は、イスラム原理主義のテロリストの暴力に悩まされているか、もしくは政府そのものがそれらテロリストの影響下にあるかのどちらかだ。

オバマ前大統領は、今回の大統領令について「信仰や宗教を理由にした差別に根本的に賛同できない」と批判したが、そもそもこの7か国からの入国を規制したのは、オバマ民主党政権の時だ。しかもオバマ政権のとき、テロの危険性を避けるため、6回もイスラム圏からの入国を禁止する措置をとっているが、マスコミは何ら問題にしなかった。

いや、それでもイスラム教徒を差別するのはダメだという意見がある。が、今回の大統領令には、イスラム教徒の入国を禁ずるとはどこにも書いていない。トランプがイスラム教を敵視しているわけではないことは、ほかのイスラム諸国、例えば、インドネシアやサウジアラビアなどに対してはこれまで通り入国を受け入れるとしていることからも明らかだ。

米マスコミの偏向ぶりがひどい

では、なぜあれほど、アメリカのマスコミからトランプは批判されるのか。それは、トランプがキリスト教や道徳を重んじ、強い軍隊を支持し、頑張った人が報われる社会を願う保守主義の考え方の持ち主だからだ。

日本ではほとんど知られていないが、アメリカの新聞は、日本で言えば朝日新聞や赤旗といったサヨク・リベラル系ばかりで、産経新聞のような保守系の全国紙は存在しない。ここでいうサヨク・リベラル系とは、道徳を毛嫌いし、企業は国民を酷使し搾取する存在だと決めつけ、保守派をファシストだと非難し、自分たちこそ人道的で理想主義的だと思い込んでいる人たちのことだ。

テレビも同様。世界的に有名なCNNに対して「コミュニスト(共産主義)・ニュース・ネットワーク」と揶揄する保守派もいるぐらいで、アメリカのマスコミの偏向ぶりは、日本以上にひどいと言っていい。

日本のテレビも新聞も、アメリカのそんなサヨク偏向のテレビや新聞の論調をそのまま紹介しているのだから、「サヨク・リベラルから見たアメリカ」ばかりが日本で報じられることになる。こうした基本的な「構図」を知らずに、アメリカのサヨク偏向報道を真に受けて、「アメリカを再び偉大な国にしようと主張するトランプは、粗暴な人種差別主義者だ」と思い込んでしまっている日本人は多い。

しかし、考えても見てほしい。

安倍政権反対の意見こそが日本の世論であるかのごとく報じる朝日新聞や赤旗ばかりを読んでいて、日本の政治の実情を理解できるだろうか。

朝日新聞などが連日、安倍政権を批判しているが、安倍政権の支持率は上がる一方ではないか。はっきり言うが、アメリカのサヨク偏向マスコミと、それをそのまま紹介する日本のマスコミ報道を見ているだけでは、トランプ政権のことも、アメリカの実情も正確にする理解することは難しいのだ。

機能する移民制度の構築がトランプの主張

マスコミは「トランプは移民排斥だ」と散々非難するが、その主張をきちんと読むと、「移民を排斥しろ」と言っているわけではないことがわかる。移民が入ってくるにあたっての厳正な受け入れ体制がないこと、つまり、移民が入ってくるときにどういう人かをチェックして、犯罪者ではないのか、テロリストではないのか、きちんと認定しながら入れる仕組みがないことが問題だと言っているにすぎない。

日米両国のマスコミは正確に報じようとしないが、トランプ大統領の移民対策は次のようなものだ。

「不法」移民がすべて麻薬密売人やテロリストだと決めつけているのではない。ほとんどが真面目な働き者で、アメリカで働いてチャンスを掴みたいと思っている。

しかし、不法移民の一部に犯罪者が含まれているのは事実であり、野放図にアメリカに入れ続けることはやめるべきだ。犯罪者ではない大部分の不法移民についていえば、たとえ真面目な働き者であったとしても、不法な手段で入ってくるのは合法的に移民するために順番を待っている人たちに対してフェアではない。不法移民をコントロールできないということは、要するにアメリカは国境を守れていないということだ。自国の国境を守らない国は、国とは言えない。

このようにトランプは、移民排斥論者のように報じられているが、実際は「適切な移民制度を構築しよう」と主張しているにすぎない。

「国境の壁」問題の背景

では実際に、アメリカの移民問題の現状はどうなっているのか。

メキシコとの国境の壁問題で注目を集めているが、近年、アメリカの南部国境線を超えて、メキシコから恒常的に不法移民が流入している。アメリカ国内に不法滞在をしている、メキシコ人を中心とする南米からの不法滞在者の数は推定で1000万人以上いると言われている。

 近年、メキシコ人の不法滞在者の中に混じって侵入してくる犯罪者やテロリストの数が増え、不法滞在の凶悪犯罪者で刑務所は満杯だ。

ところが、「不法」移民問題について批判するとマスコミから「人種差別主義者だ」と批判されることから、政治家たちの大半は「不法」移民問題に触れようとしてこなかった。

それは、利権も絡んでいる。共和党は酪農、農業組合が地盤なので、メキシコから不法に入国する人たちの安い人手に支えられている。人件費が安い不法移民がいたほうが儲かると考えている人たちがいるのだ。

一方、民主党は、ヒスパニックなどのマイノリティが増えれば、民主党の支持基盤が強くなるので、「不法」移民の増加を歓迎する傾向がある。

このため共和党も民主党も、口では国境警備の重要性を語っているが、実際は自分の政治生命や利権を第一に考えて、「不法」移民については何もしてこなかった。この結果、国境警備隊は国境の安全を守りたくても、両党の政治家の大半が不法移民の取り締まりに反対なので、思うように国境を守れないでいたのだ。

こうした、国民の安全が脅かされている現状に対して見て見ぬふりをする既成政治家たちと戦い、国民の安全を守るべくトランプ大統領は、「不法」移民問題に取り組んでいるのが現状だ。

 トランプがアメリカ国民から支持されているのは、理由がある。その理由を正確に説明しないマスコミこそがテロリストの横行を助長し、国際社会を混乱に陥れているのだ。

【江崎道朗】
1962年、東京都生まれ。評論家。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)、『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)など

 

 

にほんブログ村 哲学・思想ブログ サンクチュアリ教会へ
にほんブログ村

-あれこれ